整備関連情報(作業者・販売店様向け)

1. 大型車車輪脱落事故防止に関する情報

大型車の車輪脱落事故の再発防止に向けて、官民で各種の取組みを実施しているところですが、弊会も関係団体の一員として本対策に取組んでおり、今後も継続的に啓発活動を実施して参ります。

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(1) 国土交通省からの緊急対策の要請

大型車の車輪脱落事故が依然として多く発生していることを受け、国土交通省自動車局整備課長等から当会に対し、別紙「大型車の車輪脱落事故防止に係る令和4年度緊急対策の実施について」(令和4年9月30日付 国自整第149号の2等)の通知がございました。

令和3年度の事故発生件数は123件と依然として多く発生している状況であり、この事実は、重く受け止めなければなりません。

つきましては、タイヤ取扱店等においては、下記事項の確実な実施をお願い申し上げます。 また、タイヤ販売会社等においては、取引のあるタイヤ取扱店等に対し、下記事項の確実な実施を周知頂く様、お願い申し上げます。

  • インパクトレンチを用いてホイール・ナットを締め付ける際は、締め過ぎに注意し、最後にトルクレンチ等を使用して必ず規定トルクで締め付けること。
  • ホイール・ナットの規定トルクでの締め付け及びホイールに適合したボルト、ナットを使用すること。
    特に、脱落の多い左側後輪や積雪地域、舗装されていない道路を走行する大型車について、重点的に確認すること。
  • 入庫する大型車の使用者に対して、車輪脱落事故防止のための「お・ち・な・い」のポイント※について周知すること。
    特に、脱落の多い左側後輪や積雪地域、舗装されていない道路を走行する大型車について、重点的な点検を実施するよう周知・啓発すること。
    ※「お・ち・な・い」のポイント
    • 1.お・・・おとさない!脱落防止はまず点検。
      事前の正しい点検が大きな事故を未然に防ぐ唯一かつ最善な手段。
    • 2.ち・・・ちゃんと清掃、ちゃんと給脂!
      ボルト、ナットのさびや汚れを落とし、エンジンオイル等を塗布する。
      ナットをボルトの奥まで回転させた時、ナットやワッシャがスムーズに回転するか点検する。
      ワッシャが固着していたり、外れかかっている場合は、ナットを交換する。
    • 3.な・・・ナットを締め、トルクレンチを必ず使用!
      適切なトルクレンチ等を用いて規定のトルクで確実に締め付ける。
      初期なじみのため、タイヤ脱着後 50〜100km 走行後を目安に増し締めを実施する。
    • 4.い・・・1日1回、緩みの点検!
      運行前にボルト、ナットを目で見て、手で触って点検する。
      特に脱落が多い左後輪は重点的に点検する。
  • 著しくさびたホイール・ボルトやホイール・ナット、ディスク・ホイールでは、適正な締付力が得られないため、タイヤ脱着作業時に点検・清掃や潤滑剤の塗布を行っても、さびが著しいディスク・ホイールや、ひっかかり等の異状がありスムーズに回らないホイール・ボルト及びホイール・ナットは、使用せず交換が必要であることを大型車の使用者に理解してもらうよう努めること。
  • タイヤ脱着作業依頼により入庫する大型車の使用者から、ホイール・ナットへのマーキングや、ホイール・ナットマーカー(ホイール・ナット回転指示インジケーター)の施工依頼があった場合には、これに応じ適切に対応すること。
  • タイヤ脱着作業者においても、大型車のタイヤ脱着作業の際は、下記のタイヤ脱着作業管理表に沿った作業を行い、依頼者へ作業完了報告するよう努めること。また、タイヤ脱着作業後の増し締めの重要性を周知・啓発し、確実な増し締めの実施を促すこと。

(2) 大型車ホイールの新・ISO方式化

国内大型車メーカーは、排出ガス規制・ポスト新長期規制適合車より、新・ISO方式ホイールを採用しています。タイヤ整備作業上注意が必要な点があり、特に誤装着は、ホイール亀裂や車輪脱落事故の原因となります。

詳しくは、下記のポスター及びパンフレットとなります。

2. 空気充てん作業時における事故防止に関する情報

①2022年中の空気充てん作業時の事故は、18件。空気補充時の事故報告は、1件。

空気充てん作業時の事故被害状況
人的被害あり 物的被害のみ 被害なし 合計
死亡 重軽傷
0件 7件(8名) 0件 11件 18件
安全囲い等を使⽤していなかったケースは、10件。全体(18件)の半数以上(56%)を占める。
労働安全衛生法令で定められた特別教育を受講していなかったケースは、8件(44%)。
過去3年(2020年、2021年、2022年)の空気充てん作業時の事故件数は、下記の通り。依然として多くの事故が発⽣している。
被害状況
人的被害あり 物的被害のみ 被害なし 合計
死亡 重軽傷
2020年 2件(2名) 13件(13名) 2件 21件 38件
2021年 0件 6件(6名) 3件 15件 24件
2022年 0件 7件(8名) 0件 11件 18件

(2) 空気充てん作業時及び補充時の注意点

➀事故を防ぐ為に !

先ずは、法令順守 ( 労働安全衛生法令で定められた事業者・作業者の責務を厳守しましょう )

  • 空気充てん作業者は、必ず特別教育を受講すること。
  • エアコンプレッサーの圧力調整弁を適正に調整すること。
  • 安全囲い等飛来防止器具の使用をすること。

➁パンク修理等に伴う空気充てん作業時の注意点

  • 空気を入れてパンク箇所を確認する場合は、安全囲いに入れた上で、100kPa以上は充てんしないこと。 パンク箇所がわからない場合は、リム解きし、内面からパンク箇所を確認する。
    但し、トラック及びバス用タイヤ、小形トラック用タイヤの場合は、安全囲いに入れた状態のまま、少しずつ空気充てんを行い、都度パンク箇所の確認を繰り返すこと。
    300kPaまでにパンク箇所がわからない場合は、それ以上空気を充てんせず、リム解きして内面からパンク箇所を確認すること。
  • パンク(バルブ等の損傷を含む)修理する場合は、低内圧走行等によりダメージを受けている可能性があるので、リム解きし、引きずり痕等の異常がないことを確認の上、作業を行うこと。
  • パンク修理したタイヤは、コードが疲労している場合があるので、空気充てん後、5分以上を目安として安全囲い内で破裂しないことを確認してから車両に取付けること。
  • 下表のビードシーティング圧を厳守すること。
タイヤの種類 ビードシーティング圧
乗用車用/小形トラック用/トラック及びバス用 300kPa
農業機械用 使用空気圧 250kPa 以上 250kPa
使用空気圧 250kPa 未満 使用空気圧
建設車両用/産業車両用 ロックリング式 50kPa
上記以外 300kPa

※上表にかかわらず、タイヤメーカーの指定がある場合はそれに従うこと。

  • リムのサビ、フランジ部の変形に注意すること。
  • コア無し充てんしないこと。
  • パンク修理したTB用タイヤ、LT用タイヤに空気を充てんする際は、できるだけ頭部を保護する措置(ヘルメット等の装着)及び眼部を保護する措置(ゴーグル等の装着)を講じること。
  • 空気充てん中は、タイヤサイドウォール部の正面から身体を避けること。
  • 空気充てん時、又は充てん後タイヤサイドウォール部からの異音(プチプチ音等)が聞こえたら、 ただちに作業を中止し、避難すること。

③空気補充時の注意点

  • 極端な空気圧不足(目安:指定空気圧の半分以下)の場合は、パンク等による低空気圧走行で、タイヤがダメージを受けている可能性あり。
    そのままの状態で空気を補充すると、タイヤが破裂し、作業者が死傷した事例あり。
    このような場合は、車両からタイヤを外して、リム解きし、タイヤサイド部及び内面部に引きずり痕等の異常がないことを確認した上で安全囲いの中で空気を補充すること。
    補充作業時又は補充後、サイド部からの異音(プチプチ音など)が聞こえたら、ただちに作業を中止し、避難すること。
    尚、パンク箇所を確認する場合は、上記「パンク修理等に伴う空気充てん作業時の注意点」を参照。

④関連啓発資料

空気充てん作業時及び補充時全般

空気充てん時における事故防止VTR

産業車両用タイヤ(ID)、建設車両用タイヤ(OR)作業関連

3. タイヤの互換性に関する情報

(1) 小形トラック用タイヤ82シリーズと80シリーズの互換性について

タイヤサイズ表示の国際標準化(ISO化)のため、従来の小形トラック用82シリーズを80シリーズにサイズ変更したことに伴う両シリーズの互換性は、下記の通りです。

① 82シリーズから80シリーズへ交換する場合

82シリーズ 80シリーズ
145R10 6PR LT 145/80R10 76/74N LT
145R12 6PR LT 145/80R12 80/78N LT
145R12 8PR LT 145/80R12 86/84N LT
155R12 6PR LT 155/80R12 83/81N LT
155R12 8PR LT 155/80R12 88/87N LT
145R13 6PR LT 145/80R13 82/80N LT
145R13 8PR LT 145/80R13 88/86N LT
155R13 6PR LT 155/80R13 85/84N LT
155R13 8PR LT 155/80R13 90/89N LT
165R13 6PR LT 165/80R13 90/88N LT
165R13 8PR LT 165/80R13 94/93N LT
175R13 6PR LT 175/80R13 93/91N LT
175R13 8PR LT 175/80R13 97/95N LT
165R14 6PR LT 165/80R14 91/90N LT
165R14 8PR LT 165/80R14 97/95N LT
175R14 6PR LT 175/80R14 94/93N LT
175R14 8PR LT 175/80R14 99/98N LT
185R14 6PR LT 185/80R14 97/95N LT
185R14 8PR LT 185/80R14 102/100N LT
195R14 6PR LT 195/80R14 101/99N LT
195R14 8PR LT 195/80R14 106/104N LT

② 80シリーズから82シリーズへ交換する場合

(i) 交換可能なサイズ

80シリーズ 82シリーズ
145/80R10 76/74N LT 145R10 6PR LT
145/80R12 80/78N LT 145R12 6PR LT
145/80R13 82/80N LT 145R13 6PR LT
175/80R13 97/95N LT 175R13 8PR LT

(ii) 単輪使用時交換可能なサイズ

(複輪使用時は、車両の軸重を確認し、装着可否を判断すること)

80シリーズ 82シリーズ
155/80R12 88/87N LT 155R12 8PR LT
165/80R13 94/93N LT 165R13 8PR LT
165/80R14 91/90N LT 165R14 6PR LT
175/80R14 99/98N LT 175R14 8PR LT

(iii) 複輪使用時交換可能なサイズ

(単輪使用時は、車両の軸重を確認し、装着可否を判断すること)

80シリーズ 82シリーズ
165/80R13 90/88N LT 165R13 6PR LT
185/80R14 102/100N LT 185R14 8PR LT

(iv) 車種・装着位置限定で交換可能なサイズ

80シリーズ 82シリーズ 限定条件
165/80R13 90/88N LT 165R13 6PR LT AD
【フロント、リア】
165/80R14 97/95N LT 165R14 8PR LT NV200バネット、
デリカバン、デリカD:3
【リア】

(v) (i)~(iv)以外で80シリーズから82シリーズに交換する場合は、車両の軸重を確認し、装着可否を判断すること。

注)同一車軸内での、80シリーズと82シリーズの混用はしないこと。

(2) トラック・バス用タイヤ11R22.5と285/85R22.5の互換性について

285/85R22.5は、従来の11R22.5を国際的なISOサイズ表記に変更するために新たに設定したタイヤです。
ほとんどの場合、下記の通り対応する負荷能力間のタイヤで、相互交換が可能です。

285/85R22.5 143/140J ⇔ 11R22.5 14PR
285/85R22.5 146/143J ⇔ 11R22.5 16PR

但し、寸法面よりごく一部の285/85R22.5のタイヤは、新車装着タイヤサイズが11R22.5の車両に装着する際、自動車販売会社での確認が必要となります。詳しくはタイヤメーカー各社のホームページ又はカタログ等をご確認ください。

新車装着タイヤサイズ11R22.5からタイヤ交換時285/85R22.5にする場合

自動車販売会社での確認が必要な場合があります※。
※確認が必要な該当商品は、タイヤメーカー各社のホームページ又はカタログ等で確認してください。
注)
同一車軸内での、285/85R22.5と11R22.5の混用はしないこと。
また、リア2デフ車のリア2軸間においても、285/85R22.5と11R22.5の混用はしないこと。