廃タイヤのリサイクル

1. 廃タイヤの適正処理について

(1) 廃タイヤの取扱いについて

タイヤ販売店の業務に不可欠な廃タイヤの取扱いについて、現在の法令等を踏まえた適正な回収方法や処理方法を下記のマニュアルに取りまとめましたので、ご覧ください。

(2) 研修会のご案内
廃タイヤの取扱いに関する不安や疑問にお応えします。

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JATMAでは、当会会員企業やその系列販売会社/販売店を対象とした、廃タイヤの適正処理研修会をご要望に応じ、随時開催致します。ご希望の日時や内容等、まずはご相談ください。

なお、当会会員企業以外の販売会社/販売店につきましても、できるだけご要望にお応え致しますので、お問合せください。

開催形式:
対面 又は Web 又は 併用
研修時間:
1〜3時間(ご相談に応じます)
最小催行人数:
5人
研修内容:
一廃と産廃の区分、タイヤ販売店の義務、処理委託契約、マニフェスト制度、主な罰則 他
費用:
実費(資料代1万5千円(税込)※1 +講師出張費実費 ※2、※3)

※当会会員メーカー/会員メーカー系列販売会社が主催の場合は、費用は頂きません。

※1)資料はデータでのお渡しとなります。印刷は各自でお願いします。
※2)講師の移動距離/時間によって、ご相談させて頂く場合があります。
※3)JATMA旅費規程に準じます

研修会の御希望は… info-recycle@jatma.or.jp

【記入事項】

① 会社名 ② 担当者名 ③ 担当者連絡先(メールアドレス)

④ 業態区分(下記から選択)

□ メーカー
□ 販売会社(卸)
□ 販売店(小売)

⑤ 取引先タイヤメーカー/販売会社(下記から選択)

□ ブリヂストン
□ 住友ゴム工業(ダンロップ)
□ 横浜ゴム
□ TOYO TIRE
□ 日本ミシュラン
□ 日本グッドイヤー
□ その他:

(3) 委託契約書雛形(ワード形式)

廃タイヤの処理委託契約を行う際に必要な委託契約書の雛型を用意いたしました。

契約当事者間の交渉により、内容の変更もしくは削除、新たな条項の追加等は必要に応じて行ってください。なお、廃棄物処理法で定められた記載事項は削除できません。

契約書雛型(ワード形式)

(4) 参考情報

2. リサイクル状況

(1) 発生量

日本国内における2022年(1~12月)の廃タイヤ(使用済みタイヤ)の発生量は、「タイヤ取替時」「廃車時」の合計で、本数で9,200万本、重量で100万8,000トンと、前年と比較して本数で100万本、重量で2万1,000トン増加しました。

①タイヤ取替時

「タイヤ取替時」の発生量は、本数で8,000万本、重量で89万1,000トンと、前年と比較して本数、重量ともに増加し、コロナ禍前の2019年と同等水準となりました。

②廃車時

「廃車時」の発生量は、本数で1,200万本、重量で11万7,000トンと、前年と比較して、本数、重量ともに減少しました。2022年は新車販売が減少し下取り車も減少。廃車時の廃タイヤ発生量も減少となりました。

ルート別発生量の推移

単位:本数/百万本、重量/千トン、構成比・前年比/%

  2018 2019 2020 2021 2022
本数 重量 構成比 本数 重量 構成比 本数 重量 構成比 本数 重量 構成比 本数 重量 構成比 対前年比
本数 重量 本数 重量 本数 重量 本数 重量 本数 重量 本数 重量
タイヤ取替時 82 892 85 86 81 884 84 86 73 806 85 86 77 854 85 87 80 891 87 88 104 104
廃車時 14 140 15 14 15 142 16 14 13 131 15 14 14 133 15 13 12 117 13 12 85 88
合 計 96 1,032 100 100 96 1,026 100 100 86 937 100 100 91 987 100 100 92 1,008 100 100 101 102

資料:JATMA

(2) リサイクル状況

2022年のリサイクル利用量は、原形加工利用が前年比113%、熱利用が同104%、輸出が同126%と、いずれにおいても前年比プラスとなりました。リサイクル利用量の合計は前年より8万トン増加し、合計で98万4,000トンでした。

石炭等化石燃料の価格高騰により、代替燃料としての廃タイヤ需要が増大。また、今春の省エネ法の改正により、事業者は非化石燃料への更なる転換が求められることも廃タイヤの燃料需要を後押ししています。

リサイクル状況の推移

単位:重量/千トン、構成比・前年比/%

  2018 2019 2020 2021 2022
  重量 構成比 重量 構成比 重量 構成比 重量 構成比 重量 構成比 対前年比
リサイクル利用 国内 原形加工利用 更生タイヤ台用 51 5 51 5 46 5 50 5 53 5 106
再生ゴム・ゴム粉 120 12 132 13 115 12 84 9 85 8 101
その他
(鉄原料を含む)
1 1 0 0 1 1 1 1 15 2 1,500
小計(A) 172 17 183 18 162 17 135 14 153 15 113
熱利用 製紙工場(燃料) 446 43 402 39 412 44 425 43 433 43 102
化学工場等(燃料) 66 6 66 6 96 10 112 11 136 13 121
セメント工場
(原燃料)
64 6 70 7 69 7 73 7 81 8 111
製鉄工場(原燃料) 14 1 18 2 16 2 17 2 0 0 0
熱分解(原燃料) 61 6 56 5 10 1 1 0 2 1 200
タイヤメーカー
工場(燃料)
20 2 9 1 2 0 2 0 3 1 150
中・小ボイラー
(燃料)
3 1 2 1 2 1 3 1 5 1 167
小計(B) 674 65 623 61 607 65 633 64 660 66 104
海外 輸出 中古タイヤ 148 14 158 15 141 15 133 13 168 17 127
原燃料用チップ/
カットタイヤ
3 1 2 1 2 1 3 1 3 1 100
小計(C) 151 15 160 16 143 15 136 14 171 17 126
リサイクル利用合計(A+B+C) 997 97 966 94 912 97 904 92 984 98 109
埋め立て 1 1 1 1 5 1 11 2 14 2 127
その他 34 3 59 6 20 2 72 7 9 1 13
小計(D) 35 3 60 6 25 3 83 8 23 2 28
合計(A+B+C+D) 1,032 100 1,026 100 937 100 987 100 1,008 100 102

資料:JATMA

※数値は四捨五入しているため、各項目を合算した値は合計(小計)項目の値と一致しない場合があります。

(3) その他

・当会が公表しているリサイクル状況は、日本国内で発生した廃タイヤ(使用済みタイヤ)の処理状況を把握するためのものであるため、ここには集計されていませんが、近年、国内の熱利用先が海外から廃タイヤの切断品/破砕品を有価購入する状況が続いています。2022年の年間輸入量は約7万9,900トンで、前年に比べ約5,000トン増加しています。

・廃タイヤの熱利用において、ビードワイヤー等の鉄素材を除去した破砕品の需要が増加しており、鉄素材は事前に分別されマテリアルリサイクルされていることから、今回から原形加工利用の「その他」の区分名を「その他(鉄原料を含む)」に変更し、これに含めることとしました。

・廃タイヤから油やカーボンブラック等を取り出すリサイクルについて、従来はガス化炉により行われていた為、区分名を「ガス化炉(原燃料)」としていましたが、このようなリサイクルを行う設備はガス化炉に限らないため、今回から「熱分解(原燃料)」としました。

(4) 廃タイヤの適正処理基本ルート図

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※タイヤ販売会社、タイヤショップ、カー用品店、ガソリンスタンド、カーディーラー、整備工場等をいいます。
ただし、自動車用タイヤの販売事業を行なっていない者を除きます。

3. 不法投棄状況

2023年2月調査時の合計数量は、76件、25,163トン。
昨年の調査時と比較して、件数は同数(内訳:撤去完了3件、新規判明3件)、重量は664トンの増加となりました。なお、3件の新規案件は、従来から集積されていた廃タイヤを自治体が不法投棄とみなしたことから新規に計上しました。当会としては、長期的には不法投棄された廃タイヤの総量は、今後とも減少傾向に推移していくものと考えています。

廃タイヤの不法投棄(残存量)状況(2023年2月末調査結果)

2022年 2023年
件数 重量
(トン)
件数 重量
(トン)
対前年増減
件数 重量
(トン)
  内訳
撤去完了 新規判明
北海道 4 960 4 1,920 0 1 1 960
東北 20 3,890 19 3,875 -1 1 - -15
関東甲信越 26 6,251 27 6,281 1 - 1 30
首都圏 9 1,830 9 1,819 - - -11
中部 3 3,650 3 3,650 - - 0
近畿 1 2,000 1 2,000 - - 0
中国 3 365 3 365 - - 0
四国 1 73 1 73 - - 0
九州 9 5,480 9 5,180 0 1 1 -300
合計 76 24,499 76 25,163 0 3 3 664

資料:JATMA

備考1:

自治体が不法と認識しているもので、1件あたり、1,000本以上の案件を集計

  2:

廃タイヤの重量は、10kg/本として集計

不法投棄状況(残存量)の推移

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2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
不法
投棄
(注1) 32,026 27,677 26,991 26,363 24,499 25,163
(注2) 3,745
件  数 89 75 70 69 76 76

資料:JATMA

注1:不法投棄のうち、行為者が特定されているもの(旧:不法集積)

注2:不法投棄のうち、行為者が特定されていないもの(旧:不法投棄)

4. 原状回復支援制度

廃タイヤの不法投棄を減らすため、2005年から原状回復支援制度の運用を続けています。

2005~2022年度の18年間の累計では、計23事案に対し、3億7,926万円を支援し、299万3,013本、30,117トンの廃タイヤを撤去しました。

2023年度も、引き続き本支援を継続します。

原状回復支援制度の運用スキーム

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原状回復支援制度の運用実績

5. リデュースへの取組み

タイヤのロングライフ化と軽量化の2つに焦点を当てたリデュース(Re)係数という考え方を採用し、新製品開発時における設計上のベンチマーク的効果を狙いとしたリデュース(Re)達成率のモニタリングを推進することで、廃タイヤ発生量の削減効果(目標10%、実効として3〜5%)を実現できるよう努めています。
また、近年、タイヤに要求される性能は、車外騒音の低騒音化、ウェットグリップ、転がり抵抗等、多様化しており、これらとのバランスを考慮することも重要になっています。

リデュース達成率モニタリング

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資料/JATMA

注)

  • ①リデュース(Re)係数=ライフ指数(L)÷重量指数(W)
  • ②リデュース(Re)達成率=リデュース(Re)係数×100
  • ③ライフ指数(L)=〔新製品の設計仕様上の摩耗寿命(km)÷旧製品の設計仕様上の摩耗寿命(km)〕×100
  • ④重量指数(W)=〔新製品の重量(kg)÷旧製品の重量(kg)〕×100 
  • ⑤モニタリング対象=国内市販用タイヤのうち、予め選定した代表10サイズ

※2007年期から、7.50R16(小形トラック用)の代わりに245/70R19.5(トラック・バス用)のモニタリングを開始しました。