廃タイヤの発生抑制

1. 廃タイヤリデュースの取組み

タイヤのロングライフ化と軽量化を推進するため、新商品の旧商品対比のライフ指数と重量指数から算出した「リデュース達成率」を毎年公表しています。

リデュース達成率は、100を上回れば改善、下回れば悪化の傾向を示すものとなります。

・リデュース達成率=リデュース係数×100

・リデュース係数=ライフ指数/重量指数

・ライフ指数=(新製品の設計仕様上の摩耗寿命(km)/旧製品の設計仕様上の摩耗寿命(km))×100

・重量指数=(新製品の重量(kg)/旧製品の重量(kg))×100

近年、タイヤに要求される性能は、車外騒音の低騒音化、ウェットグリップ、転がり抵抗等、多様化しており、これらとのバランスを考慮することも重要になっていますが、ロングライフ化と軽量を推進することで、廃タイヤ発生量、原材料使用量の削減を目指しています。

リデュース達成率モニタリング

品 種 モニタリング
サイズ
区 分 リデュース(Re)達成率
2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
乗用車用 155/65R13 夏用タイヤ 96 106 102
スタッドレスタイヤ 85 98 98
乗用車用 175/65R14 夏用タイヤ 98 108 106
スタッドレスタイヤ 85 99 100 101
乗用車用 195/65R15 夏用タイヤ 108 110 106 104
スタッドレスタイヤ 95 100 97
乗用車用 215/45R17 夏用タイヤ 118 115 108 99
スタッドレスタイヤ 72 102 96
小形トラック用 145R12
(145/80R12)
夏用タイヤ 100
スタッドレスタイヤ 97 121 107
小形トラック用 185R14
(185/80R14)
夏用タイヤ 98
スタッドレスタイヤ 97 114
小形トラック用 205/70R16 夏用タイヤ 115 133 132
スタッドレスタイヤ 96 122 116 104
トラック・バス用 225/80R17.5 夏用タイヤ 100 113 113
スタッドレスタイヤ 111 100 120
トラック・バス用 245/70R19.5 夏用タイヤ 113 110
スタッドレスタイヤ 107 107 107
トラック・バス用 11R22.5 夏用タイヤ 100 141 117
スタッドレスタイヤ 100 110 114 120

※2007年期から、7.50R16(小形トラック用)の代わりに245/70R19.5(トラック・バス用)のモニタリングを開始した。

資料/JATMA

2. 廃タイヤの発生量・有効利用量

(1) 発生量

国内における2024年の廃タイヤの発生量は、タイヤ取替時、廃車時の合計で8,900万本。前年から100万本減少しました。

①タイヤ取替時

タイヤ取替時の発生量は7,800万本。市販用タイヤの販売が前年並みであり、廃タイヤの発生量も前年と同様となりました。

②廃車時

廃車時の発生量は1,100万本。廃車台数が前年比4.5%減の260.8万台と、この10年間でみると最も低い水準にとどまり、廃タイヤの発生量も前年から100万本減少となりました。

発生量の推移

単位:百万本

  2021年 2022年 2023年 2024年
タイヤ取替時※1 76 79 78 78
廃車時※2 14 12 12 11
合 計 90 91 90 89

※1 市販用タイヤ販売実績、輸入タイヤ貿易統計を基に推計。

※2 廃車台数(自動車リサイクル促進センター公表値)を基に推計。

資料/JATMA

なお、更生タイヤは使用されている限りは廃タイヤにならず、発生量、有効利用量に影響がないことから除外しています。上記の表は更生タイヤを除いた数字を示しています。諸外国においても同様の考え方で整理されています。

(2) 有効利用量

2024年の廃タイヤ有効利用量は69万2,000トン、有効利用率は99.6%となりました。

有効利用量の推移

単位:千トン

  2021年 2022年 2023年 2024年
製紙工場 425 433 476 413
化学工場 112 136 113 104
セメント工場 73 81 67 60
中小ボイラー 3 5 5 2
タイヤメーカー工場 2 3 2 1
熱分解施設 1 2 1 3
再生ゴム・ゴム粉 84 85 88 89
原形加工利用(鉄原料含む) 1 15 24 20
製鉄工場 17 0 0 0
有効利用量 718 760 776 692
非有効利用最終処分量 11 14 6 3
有効利用率(%) 98.5% 98.2% 99.2% 99.6%

資料:JATMA

(3) その他

  • 有効利用率は「有効利用量」/「有効利用量+非有効利用最終処分量」×100で算出しています。
  • また、国内の有効利用率を算出する観点から、中古タイヤ輸出及び切断品/破砕品輸出、輸入され有効利用された切断品/破砕品は除外しています。
  • 廃タイヤ切断品/破砕品の2024年の年間輸入量は約17万240トンでした。前年に比べ約3万トンの増加となり、前年に続き集計開始以来の最高値となりました。国内の熱利用先が海外から有価で切断品/破砕品を購入しており、この状況に変化はありません。

3. 廃タイヤの不法投棄残存量

2025年2月調査時の合計数量は、79件、23,880トン。
昨年の調査時と比較して、4件増加(内訳:撤去完了2件、新規判明6件)、115トンの増加となりました。

廃タイヤの不法投棄(残存量)状況(2025年2月末調査結果)

2024年 2025年
件数 重量
(トン)
件数 重量
(トン)
対前年増減
件数 重量
(トン)
  内訳
撤去完了 新規判明
北海道 3 920 3 920 - - 0
東北 19 3,605 23 3,590 4 - 4 -15
関東甲信越 27 6,280 27 6,320 0 1 1 40
首都圏 10 1,839 9 1,799 -1 1 - -40
中部 3 3,650 4 3,780 1 - 1 130
近畿 1 2,000 1 2,000 - - 0
中国 3 365 3 365 - - 0
四国 1 73 1 73 - - 0
九州 8 5,033 8 5,033 - - 0
合計 75 23,765 79 23,880 4 2 6 115

備考1:自治体が不法と認識しているもので、1件あたり1,000本以上の案件を集計

備考2:廃タイヤの重量は、10kg/本として集計

資料:JATMA

不法投棄状況(残存量)の推移

図を拡大して見る

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資料:JATMA

4. 原状回復支援制度

原状回復支援制度は、不法投棄された廃タイヤの、自治体による撤去事業を支援・促進することを目的として、2005年に設置した制度です。

【支援対象者】

生活環境保全上の支障の除去を目的として、不法投棄された廃タイヤの撤去事業(行政代執行による撤去を含む)を行う自治体

【支援金額】

撤去費用の2/3又は3,000万円(消費税込)のいずれか低い額

【支援条件 -抜粋-】

  • 申請者たる自治体が、不法投棄の行為者または投棄場所の土地の所有者ではないこと
  • 廃タイヤの存在により、生活環境保全上の支障が現実的に生じている又は生ずるおそれがあること
  • 撤去本数の見積もりが1,000本以上であること
  • 行為者が車両解体業者に当たらないこと
  • 申請者たる自治体が撤去事業の対象となるタイヤについて廃タイヤと認定し、廃棄物処理法上の措置命令を発出していること(法的に措置命令を発出できない場合を除く)
  • 行為者が、不明、死亡又は破産等により、廃タイヤ撤去の責にある者の資力からみて、当該廃タイヤの撤去を行うことが困難であること
  • 廃タイヤの不法投棄に関する原因の究明並びに行為者、土地所有者、排出事業者その他の関係者の責任追及が十分に行われていること
  • 廃タイヤ及び不法投棄場所の土地に関した第三者の権利が存在しないこと
  • 支援対象者において支援対象事業実施に必要な事業予算が計上されている又は計上されることが確実であること

【支援申請の受理可否までのフロー】

支援申請の受理可否までのフロー 支援申請の受理可否までのフロー

【申請受理の場合、支払までのフロー】

申請受理の場合、支払までのフロー 申請受理の場合、支払までのフロー

◆支援申請を検討される自治体の方へ

上記以外の条件、詳細等は相談時にご案内いたします。相談をご希望の場合は、お近くの当会各支部へご連絡ください。

原状回復支援制度の運用実績