トラック・バス用リトレッドタイヤ普及による資源使用量とCO2排出量の削減効果について
No.1262
2022年12月26日
一般社団法人日本自動車タイヤ協会(会長 山石 昌孝)は、トラック・バス用タイヤのカテゴリーで日本国内市場におけるリトレッドタイヤ普及に伴う資源使用量の削減効果、及びCO2排出量の削減効果についてとりまとめました。
1. はじめに
タイヤ業界では、タイヤのライフサイクル全体で省エネ化の推進及びCO2の排出量削減に取り組んでいます。また、日本自動車タイヤ協会では、これら活動の効果算定に活用してもらうため、2021年3月に「タイヤの LCCO2算定ガイドライン Ver.3.0」を改定発行しています。
今回は同ガイドラインを用い、日本国内市場におけるトラック・バス用リトレッドタイヤ(1)の普及に伴う資源使用量の削減効果、及びCO2排出量の削減効果をとりまとめました。
尚、国内市場における各年度の販売実績データに関しては、更生タイヤ全国協議会よりご提供いただきました。
台タイヤを再利用でき、ユーザーのコストメリットに繋がり、省資源にも貢献するものです。
2. リトレッドタイヤ普及による資源使用量削減効果の算定
リトレッドタイヤの生産では、台タイヤ部分を再利用するため、新規投入材料はトレッドゴムのみとなり、新品タイヤの生産に比べ、資源使用量で約69%、CO2排出量で約65%をそれぞれ削減することができます(タイヤのLCCO2算定ガイドライン 代表サイズ275/80R22.5で計算)。
2018年から2021年における日本国内市場全体の資源削減量を計算した結果を表1、図2に示しています。
日本国内のリトレッド率は約18%で推移しており、すべての販売タイヤが新品であった場合に比べ、2021年には年間約4.4万トンの資源削減に貢献しています。これは275/80R22.5サイズの新品タイヤ約80万本に相当する重量です。
表1 日本国内市場におけるリトレッド率と資源削減量の推移
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | ||
国内販売本数 (万本) |
合計 | 671.4 | 665.9 | 599.4 | 648.0 |
新品 | 550.6 | 545.8 | 489.4 | 532.2 | |
リトレッド(2) | 120.8 | 120.1 | 110.1 | 115.8 | |
リトレッド率(%)(3) | 18.0 | 18.0 | 18.4 | 17.9 | |
資源削減量(万トン) | 4.6 | 4.6 | 4.2 | 4.4 |
図2 日本国内市場における資源削減量の推移
3. リトレッドタイヤの普及によるCO2排出量削減効果の算定
さらに、新品タイヤがリトレッドタイヤに置き換わることによる、タイヤのライフサイクルにおける「原材料生産」「原材料輸送」「タイヤ生産」「廃棄・リサイクル」段階のCO2削減効果についても、以下のように計算しました。
表2に各年における日本国内市場全体の全ての販売タイヤが新品であった場合と比べたCO2削減量をライフサイクル段階別合計で示しています。また、図3には各年のCO2削減量推移を示しています。段階別では、原材料生産段階のCO2削減量が大きいとの結果になりました。各年の年間CO2削減量は20万トン前後で推移しており、2021年には年間約20.1万トンのCO2削減に貢献しています。これは275/80R22.5サイズの新品タイヤ約110万本を生産する際のCO2排出に相当する量です。
表2 日本国内市場におけるCO2削減量の推移
CO2削減量 万トン | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
原材料生産 | 11.5 | 11.4 | 10.5 | 11.0 |
原材料輸送 | 0.8 | 0.8 | 0.7 | 0.7 |
タイヤ生産 | 2.0 | 2.0 | 1.8 | 1.9 |
廃棄・リサイクル | 6.7 | 6.7 | 6.1 | 6.5 |
合計 | 20.9 | 20.8 | 19.1 | 20.1 |
図3 日本国内市場におけるCO2削減量の推移
また、図4に2021年の総本数を前提とした、リトレッド率とCO2削減量の関係を示しています。
これらは比例関係であり、国内市場でリトレッドタイヤの使用が増えていくことにより、さらにCO2削減や資源量削減への貢献も拡大します。
現在の日本国内のリトレッド率は、海外と比べると低い状況であり(4)、リトレッド率が高まることで持続可能な社会の実現に向けてのさらなる貢献が期待されます。
図4 リトレッド率とCO2削減量の関係
本件に関するお問合せ先
環境部:時田
電話 03-5408-5051