くるまを支えるのはタイヤくるまを支えるのはタイヤ

タイヤのおはなし

トラック・バス用 タイヤ編 小形トラック用 タイヤ編トラック・バス用 タイヤ編 小形トラック用 タイヤ編

 

これだけは憶えておきたい
タイヤのきほん ""

タイヤの空気圧

タイヤを上手に、そして安全に使うために重要なのは、「適正な空気圧」です。

空気は漏れる

タイヤに充てんした空気は、走行しなくても自然に漏れ、空気圧は下がっていきます。

タイヤの溝

雨の日の走行時に「タイヤの溝」は、重要な働きをします。

溝は走行とともにすり減る

タイヤは走行とともにすり減っていきます。すり減ったタイヤで雨の日の濡れた道路ではスリップしやすくなります。

月1回の点検を!

本ページでは、タイヤにまつわる「知っておきたいこと」をまとめています。
中でも重要なのは、上記の「きほんのき」。月1回のタイヤ点検、ぜひ憶えておいてください。

タイヤは自動車の走行装置であり、4つの重要な役目を果たしています。

タイヤの役目
タイヤの4つの機能

自動車の質量を支える

タイヤは、内部に充てんされている空気により、自動車や荷物等の質量を支えています。

例)
295/80R22.5 153/150J … 3,650㎏
7.50R16-14PR LT … 1,510㎏

駆動力、制動力を路面に伝える

タイヤは、トレッド部と路面の間に生じる摩擦力により、走ったり止まったりします。

路面の凸凹等から受ける衝撃を和らげる

タイヤは、内部に充てんされている空気により、一種の空気バネの働きをしています。そのため、路面からの衝撃を和らげます。

自動車の方向を転換、維持する

タイヤと路面との間に生じる摩擦力により、自動車の方向を転換、維持します。

車両にぴったりマッチした組み合わせで安全・快適にご使用下さい。

タイヤを新しくお選びになるときは

チューブレスタイヤ/チューブ付タイヤ

全車輪とも、同じサイズ(ロードインデックス及び速度記号を含む)、種類、構造、タイプのタイヤを選定して下さい。

(但し、自動車製作者又はタイヤ製作者による個別の指示がある場合はその指示に従って下さい。)

警告

① サイズ、種類、構造、タイプの異なるタイヤを同一車軸に使用すると、タイヤ性能が異なるため事故や車両故障のおそれがあるので、混用しないで下さい。

② タイヤサイド部に回転方向または取付け方法などの指定があるタイヤは、その指定の通りに正しく装着して下さい。

③ リ・グルーブ、穴あけ等再加工をしたタイヤは、損傷したり、事故になるおそれがあるので、使用しないで下さい。
(但し「REGROOVABLE」表示のあるタイヤで、規定された方法で加工されたものは除く)

チューブ付タイヤ

チューブ、フラップ、バルブは次の基準により選んで下さい。

① タイヤサイズ、車両及びホイールに適合したもの。

② 新品タイヤには新品のもの。

③ タイヤと同じ銘柄のもの。

タイヤの構造によって必要な部品も異なります。
チューブレスタイヤとチューブ付タイヤに必要な部品は右の図の通りです。それぞれ車両やタイヤの適合したものを選んで下さい。

バルブ/バルブコア

チューブレスタイヤには、チューブレスタイヤ用ホイールを使用し、バルブは車両及びホイールに適合するものを使用して下さい。

(新品チューブレスタイヤには新品のチューブレス用バルブの使用を推奨します。)

また、車両指定空気圧に対応したバルブを使用して下さい。最大対応空気圧450kPaのスナップインバルブは、車両指定空気圧450kPaを超えるタイヤには使用しないで下さい。

※TR413、TR414、TR415、TR418、TR423、TR425等。

①スナップインバルブ(ラバーバルブ)
バルブステムのまわりが特殊な形状をしたゴムで覆われており、溝の部分がリムのバルブ穴にピッタリとはまり込んで、空気漏れを防ぎます。

②クランプインバルブ(締付式バルブ)
ゴムパッキンとネジで締付けるタイプです。

③バルブコア
バルブコアにはA型とB型のタイプがあります。バルブの種類、大きさによってはB型専用の場合がありますので、B型を使用していたバルブには必ずB型のバルブコアを使用して下さい。

ホイール

ホイールの選定は販売店に相談し、タイヤのサイズに適合したものを使用して下さい。

① 亀裂、変形、著しい錆やガタのないものまたは溶接や手直しをしていないもの。

② サイドリングはホイールと同一サイズ、同一銘柄で切れ目の隙間が適正(装着後、TB2~7ミリ、 LT2~6ミリ)なもの。

走行時の安全を確保するために、必ず日常点検・整備を行って下さい。

ふだんこれだけは心がけたい
「タイヤの日常点検・整備」

タイヤは適正な管理(整備)で使用された場合に、はじめて自動車の走行装置としての役目を果たしますが、それらが不適正な場合、タイヤの機能が低下するばかりでなく、種々の損傷を起こす原因になります。タイヤのご使用者は、走行時の安全を確保するために、必ず日常点検・整備を行って下さい。

空気圧の過不足はタイヤ損傷を招きます。

タイヤは適正な空気圧(自動車製作者またはタイヤ製作者の指定空気圧)が充てんされて初めて充分な性能を発揮します。空気圧に過不足があると、タイヤが損傷したり、事故につながるおそれがあります。タイヤの空気圧は、徐々に(自然に)低下します。このためスペアタイヤも含めて最低1ヶ月に1度は空気圧の点検を行って適正な空気圧を維持して下さい。

1. 空気圧不足によるタイヤの損傷

空気圧が不足すると、タイヤの負荷能力は低下します。また、タイヤ各部の動きが大きくなるためタイヤが異常発熱し、その熱によりコードやゴムが劣化して、次のような損傷や現象を起こしやすくなります。

  1. はく離(セパレーション)やコード切れ(C.B.U.)
  2. ホイールからタイヤビード部が外れやすくなる
  3. 偏摩耗(タイヤの両肩部が摩耗しやすい)

2. 空気圧過多によるタイヤの損傷

空気圧が過多になると、タイヤは異常な緊張状態になるため、その緩衝能力が低下し、次のような損傷を起こしやすくなります。

  1. 衝撃傷や切り傷を受けやすくなる。
  2. 偏摩耗(タイヤの中央部が摩耗しやすい)

3. 適正な空気圧を保つためには

警告

① タイヤの空気圧は、走行前の冷えている時にエアゲージにより定期的(最低1ヶ月に1度)に点検し、自動車製作者またはタイヤ製作者の指定空気圧を基準とし、下記の表の範囲内に確認・調整して下さい。指定空気圧は自動車の取扱説明書または車両のドア付近のプレート等に明示されています。

充てん空気圧の調整範囲
タイヤの種類 範囲(kPa)
小形トラック用タイヤ 0 ~ +70
トラック及びバス用タイヤ 0 ~ +80
トラック・バス用タイヤの空気圧低下状況
(イメージ)

備考:
最大対応空気圧450kPaのスナップインバルブを使用している場合、上記の調整範囲内であっても、冷間時(走行によってタイヤが暖まる前)450kPaを上限として下さい。
ただし、特種用途自動車(8ナンバー車)でかつ、空気圧点検・調整の間隔が2週間以上ある場合に限り、空気圧の自然低下によって、タイヤが過負荷状態となることを回避するため、冷間時475kPaまで補充することを許容します。※TR413、TR414、TR415、TR418、TR423、TR425等

② 走行中、タイヤの発熱により空気圧は高くなりますが、増加した分の空気は絶対に抜かないで下さい。
タイヤが冷えると空気圧は元に戻ります。

③ 複輪の場合、空気圧差はつけないで下さい。

④ バルブへの泥水の浸入による空気漏れを防ぐために、バルブキャップを必ず取り付けて下さい。

残り溝 1.6mm 未満のタイヤは使用できません。

1.「道路運送車両の保安基準」で定められています。

「道路運送車両の保安基準」では、“滑り止めの要件(摩耗限度)”が、自動車用タイヤは残り溝1.6mmと規定され、残り溝が基準未満のタイヤは「整備不良」として使用禁止または車検不合格となります。なお、高速道路を走行する場合は、下表の摩耗限度を守って下さい。

高速走行における自動車用タイヤの摩耗限度
タイヤの種類 溝の深さの限界
小形トラック用タイヤ 2.4mm
トラック及びバス用タイヤ 3.2mm

2. スリップサインが使用限度の目安です。

警告

タイヤの使用限度は、残り溝1.6mmです、それ以前に新品タイヤと交換して下さい。

スリップサインとは
タイヤの使用限度を示すために、接地部の溝に設けられているサイン。タイヤがすり減って残り溝が1.6mmになると溝が途切れこのサインが現れます。

スリップサインの位置
スリップサインの位置を示す△印等が、タイヤの両側面にそれぞれ周上6ヵ所以上表示されています。

スリップサインの形状
スリップサインの形状は、接地部の模様により異なります。リブ型及びラグ型では、図のような形状になっています。

3. 摩耗限度を超えると危険!

トレッド部がすり減って、溝が浅くなったタイヤは排水機能が低下し、滑りやすくなります。そのため、すり減ったタイヤで雨の日に濡れた道路を走行すると、スリップやハイドロプレーニングを起こしやすく危険です。
※溝の深さが基準以上でも極端に偏摩耗状態のタイヤや、コード層の露出したタイヤは使用できません。

溝の深さと制動距離

複輪外径差は許容範囲内で。

複輪に外径差があると、大きい方のタイヤに負担がかかり傷みますので、右表の範囲内とし、必ず外径の小さいタイヤを複輪内側に装着して下さい。

タイヤ幅の呼び 許容外径差
ラジアルタイヤ バイアスタイヤ
9.00(相当サイズ)以上 8mm以内 12mm以内
8.25(相当サイズ)以下 6mm以内 8mm以内
  • 9.00(相当サイズ)以上とは、メトリック表示では255以上
  • 8.25(相当サイズ)以下とは、メトリック表示では245以下とする

金属片やガラス等で傷を受けたタイヤは走行中破損するおそれがあります。

タイヤに、亀裂または、釘、金属片、ガラス等が刺さっていたり、溝に石、その他異物が噛み込んでいないか確認して下さい。異物を発見した時は、タイヤ販売店にご相談の上取り除いて下さい。

危険

コードに達している外傷、ゴム割れのあるタイヤは使用しないで下さい。

異物の除去方法及び異物除去後のタイヤ点検

運行前点検等で、複輪間に石などを噛み込んだ状態を発見した場合は、次の手順を参考にして対処して下さい。
① 噛み込んだ石(異物)等から最も離れた位置でジャッキアップし、両方(複輪)のタイヤに充てんされている空気をほぼ同時に抜く。同時に抜くのが困難な場合は、内側のタイヤから先に空気を抜く。空気を抜いている間、作業者はできるだけタイヤから離れる。内側のタイヤの空気が抜けたら、5分以上放置し、外側のタイヤが破裂しないことを確認し、外側のタイヤの空気を抜く。
② 空気が抜けきった後、外側のタイヤ・ホイールを取り外し、噛み込んだ石(異物)等を取り除く。
③ 内側のタイヤ・ホイールを車両から取り外す。
④ 噛み込んだ石(異物)等によって、両方のタイヤが損傷していないかどうかの点検を行う。損傷したタイヤは使用しない。
⑤ 自身で点検が出来ない場合は、タイヤ販売店等に相談すること。

偏摩耗抑制のため、タイヤの位置交換(ローテーション)をしましょう。

不適正空気圧、ホイールアライメントの狂い、タイヤ位置交換の遅れは偏摩耗を促します

スペアタイヤの点検もお忘れなく。

① スペアタイヤの空気圧は、定期的(最低1ヶ月に1度)に点検し自動車メーカーが指定した値に調整しましょう。

② いざというとき使えるように、普段から空気圧、溝の深さ、タイヤの傷等充分点検しておきましょう。

他にこれだけは心がけたい事項。

タイヤ・チューブ等の保管上の注意

  1. 直射日光の当たる場所を避けて下さい。直射日光はゴムの老化を促進します。
  2. タイヤ内部に水が入らないよう注意しましょう。雨水等が入ったまま長期間放置すると、タイヤ損傷(コード切れ、はく離)またはリムの錆発生のもとになり危険です。また入った水はすぐに取り除いて下さい。
  3. 油類、ストーブ類の熱源及び電気火花の出る装置に近い場所などを避けて下さい。油類や熱はゴムを変質させ、老化の原因になります。

長期経過タイヤの点検・交換について。

タイヤは自動車の安全にとって重要な役割を担っています。
一方、タイヤは様々な材料からできたゴム製品であり、ゴムの特性が経時変化するのに伴い、タイヤの特性も変化します。
その特性の変化はそれぞれ環境条件・保管条件及び使用方法(荷重、速度、空気圧)などに左右されますので、点検が必要です。
従って、お客様による日常点検に加え、使用開始後5年以上経過したタイヤについては、継続使用に適しているかどうか、すみやかにタイヤ販売店等での点検を受けられることをお奨め致します。
また同時にスペアタイヤについても点検を受けられることをお奨め致します。
また、外観上使用可能のように見えたとしても(溝深さが法律に規定されている値まですり減っていない場合も)製造後10年((注)参照)経過したタイヤ(含むスペアタイヤ)は新しいタイヤに交換されることをお奨め致します。
なお、車両メーカーがその車の特性からタイヤの点検や交換時期をオーナーズマニュアル等に記載している場合もありますので、その記載内容についてもご確認下さい。

(注)
ここに記載した10年という年数は、あくまで目安であって、そのタイヤの実際の使用期限(すなわち、継続使用に適していないこと、または安全上の問題があるかもしれないことを示す時期)を示すものではありません。
従って、環境条件・保管条件及び使用方法によって、この年数を経過したタイヤであっても、継続使用に適している場合もあれば、この年数を経過していないタイヤであっても継続使用に適していない場合もあります。
10年を経過していないタイヤであっても、上記の環境条件等によっては交換する必要がある場合があることにご注意下さい。また、この10年という年数及びタイヤ販売店等による点検のお奨め時期である使用開始後5年という年数は、いずれも各タイヤメーカー・販売会社・販売店による品質保証期間・期限を示すものではありません。

 

ふだんこれだけは心がけたい
「安全走行」

新品タイヤは、ならし走行を。

タイヤは、新品時から急激に過酷な条件で使用すると異常発熱による損傷を起こしやすくなります。従って、新品タイヤは右表の目安でならし走行をして下さい。また、タイヤ交換後は、今まで使用していたタイヤと特性が異なる場合があるので、その運動特性に慣れるまで慎重な運転が必要です。

タイヤの種類 走行速度 走行距離
トラック・バス用
小形トラック用
60km/h
以下
200km
以上

過積載や偏った積載は事故のもと。

荷物を積み過ぎたり、偏った積み方をして走行すると、次のタイヤ損傷等の原因になります。

  1. 走行中、タイヤのたわみが増大するため異常発熱し、摩耗が早められます。さらに、コードの疲労が促進され、はく離(セパレーション)やコード切れにつながります。
  2. タイヤビード部へ過大な力が加わり、ビード損傷の原因となります。
    • なお、過積載した車両の運転は、道路交通法第57条により禁止されているため過積載は絶対にやめましょう。

正しい積み方

誤った積み方

発熱と疲労による損傷

障害物からの外傷、衝撃による損傷

乱暴な運転はやめましょう。

警告

急発進、急加速、急旋回及び急制動は危険ですので避けて下さい。特に、湿潤路、積雪路及び凍結路は滑りやすく、事故になるおそれがあるため、急カーブでは減速する等、道路状況に応じた適切な運転をして下さい。

タイヤの側面を道路の縁石に接触させない。

警告

タイヤを傷つけるおそれがあるので、道路の縁石等にタイヤの側面を接触させたり、道路上の凹みや突起物乗り越しなどは避けて下さい。

走行中に異常を感じたときは、ただちに安全な場所に寄せて停車し、原因を確認して下さい。

警告

走行中に車両が操縦不安定になったり、異常な音及び振動を感じたときは、すみやかに安全な場所に停車して、車両及びタイヤを点検して下さい。外観上、異常がわからない場合でも、最寄のタイヤ販売店、整備工場等に点検を依頼して下さい。

安全確保のため、状況に応じた速度と運転を。

走行中は、常に走行速度に応じた車間距離を確保して下さい。
特に、湿潤路、積雪路及び凍結路走行時は充分な車間距離を確保して下さい。

雨と路面の摩擦係数

雨の降り始めの道路は上図のように滑りやすくなっています。
気象条件、路面状況に応じた速度と運転方法を心がけて下さい。

スノーシーズンに入ったら、特に心がけましょう。

積雪路・凍結路での走行上の注意

積雪路及び凍結路では都道府県公安委員会制定の道路交通法施行細則(または道路交通規則)により、滑り止めの措置を講ずるよう義務づけられています。冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、シビアスノータイヤ、スノータイヤ)、タイヤチェーン等は滑り止めの措置を講じたものと認められています。

冬用タイヤ

1.スタッドレスタイヤ

過酷な凍結条件下の路面においても使用可能な性能を有するように特別に設計された冬用タイヤです。
低温でも“しなやかさ”を失わない特殊配合ゴムを使用し、タイヤの溝の形状等新たな工夫を加え、凍結路における走行性能をできるだけ高めています。

2.シビアスノータイヤ

過酷な積雪条件下の路面においても使用可能な性能を有するように特別に設計された冬用タイヤです。

3.スノータイヤ

積雪路における自動車の走行開始、維持又は停止の際にノーマル(夏用)タイヤよりも優れた性能を有するように設計された冬用タイヤです。

使用上の注意

警告

① 積雪路または凍結路では、冬用タイヤを全車輪に装着して下さい。
冬用タイヤは全車輪に装着しないと挙動が安定しません。

② 冬用タイヤで積雪路及び凍結路を走行する場合は、冬用タイヤの残り溝深さが新品時の50%以上あることを確認して下さい。溝深さが50%未満のタイヤは冬用タイヤとしては使用しないで下さい。

③ タイヤチェーン未装着車の通行を禁止する規制時は、冬用タイヤであっても、タイヤチェーンの装着が必要です。

プラットホームとは
日本国内における道路交通法施行細則等によって定められた冬用タイヤとしての使用限度を示すために、接地部の溝に設けられている目印。タイヤがすり減って残り溝が新品時の50%になると溝が途切れこの目印が現れます。(一部プラットホームが無いタイヤもあります。)

プラットホームの位置
プラットホームの位置を示す⇑がタイヤの両側面にそれぞれ周上4ヶ所以上に表示されています。

運転上の注意

① 積雪路及び凍結路においては、低速ギヤでゆっくり発進し、タイヤを空転させないで下さい。

② 急坂路では、登り終わるまで低速ギヤを使用し、途中でギヤチェンジをしないで下さい。

③ 急発進、急加速、急旋回及び急制動は避けて下さい。また、減速や停止時には尻振りやスピンを防ぐため、柔らかくブレーキを踏んだり(ソフトブレーキ)、エンジンブレーキを有効に使う等の操作をしましょう。

④ カーブに入る前に減速して下さい。カーブしながら加速したり、減速すると走行が不安定になります。積雪路及び凍結路を走行する場合は、速度を控え目にし、また、車間距離を充分とって下さい。なお、これらの道路では追い越しをしないで下さい。

⑤ 冬用タイヤといえども万能なタイヤではありません。運転には細心の注意を払うともに、安全確保のためにその場に応じた必要な措置を講じましょう。

⑥ 冬用タイヤは積雪路・凍結路での走行性能を重視しています。乾燥路・湿潤路で使用する場合は走行速度に注意して急発進、急制動、急旋回を避け安全運転に心掛けて下さい。

タイヤチェーン使用上の注意

① タイヤチェーンは、タイヤサイズに適合するサイズのものを駆動輪に装着して下さい。
※同一サイズでも当該タイヤに装着可能である事及び車体に干渉しないことの確認が必要です。

② タイヤチェーンを装着する場合は、自動車製作者またはチェーン製造業者等が推奨する手順及び注意事項に従って下さい。

③ タイヤチェーンを締め付けすぎると、タイヤのトレッドやサイドウォール等を傷つけるおそれがあります。適度な締め付けを行って下さい。

④ タイヤにチェーンを装着して積雪路及び凍結路以外の道路を走行すると、タイヤ、チェーン及び車両を損傷したり、スリップするおそれがあるので避けて下さい。

⑤ タイヤチェーンを装着した場合は、下表に示す速度以下で走行して下さい。

道路 走行速度
金属製チェーン 非金属製チェーン
積雪路、凍結路 30㎞/h以下 50㎞/h以下

タイヤの種類と構造

タイヤの基礎知識
タイヤの種類と構造

タイヤの表示

タイヤの呼び(寸法)

1. 呼びの例

ISO 方式による呼び方

従来の呼び方

2. 偏平比

偏平比とはタイヤの断面幅に対する断面高さの比率をいいます。

3. プライレーティング(PR)

タイヤの強度を示す指数。この指数は実際のプライ数(カーカスの枚数)ではなく、綿コード製のプライ数がもつ当該強さに相当することを意味しています。

4. ロードインデックス(LI)

タイヤの最大負荷能力を示す指数です。

タイヤの構造と部分名称

① トレッド部

タイヤが路面と接触する部分のゴム層をいいます。路面等からの衝撃や外傷から内部のカーカスを保護すると共に、摩耗寿命を担う役目をしています。また、各種のトレッドパターンが刻みこまれています。

② ショルダー部

トレッドとサイドウォール間(肩部)のゴム層をいいます。カーカスを保護すると共に走行時に発生する熱放散の役目をしています。

③ サイドウォール部

ショルダーとビード間のゴム層をいいカーカスを保護する役目をしています。また、タイヤのサイズ、製造会社名等が表示されています。

④ コード

タイヤの内部でカーカスやベルト等を形成している繊維または金属線等を撚り合わせたものをいいます。

⑤ カーカス

ゴムで被覆したコードを貼り合わせ、層としたものをいいます。タイヤの骨格となっており、カーカス配列のタイプにラジアル(放射状)とバイアス(斜め)とがあります。

⑥ ベルト

ラジアルタイヤのトレッドとカーカス間のコード層をいいます。カーカスを桶のタガのように強く締め付けて、トレッドの剛性を高める働きをしています。

⑦ ブレーカ

バイアスタイヤの場合は、トレッドとカーカス間のコード層をブレーカといいます。路面からの衝撃を緩和し、トレッドに受けた外傷が直接カーカスに達することを防ぐと共に、トレッドとカーカスのはく離を防止する役目をしています。

⑧ インナーライナー

チューブレスタイヤの内面に貼付けられた気密保持性の高いゴム層をいいます。

⑨ ビード部

スチールワイヤー(鋼線)を束ね、ゴムで被覆したリング状の補強部をいいます。空気を充てんした時にタイヤをリムに固定する役目をしています。

タイヤの構造

チューブレスタイヤとチューブ付タイヤ

1. チューブレスタイヤ

チューブを使用しない代わりに、タイヤの内面に空気透過性の小さい特殊ゴム(インナーライナー)を貼付け、更にビード部にも空気漏えい防止の材料を使用して空気が漏れないようにしたタイプのタイヤをいいます。

2. チューブ付タイヤ

内蔵したチューブに空気を充てんし、使用するタイプのタイヤをいいます。

ラジアルタイヤとバイアスタイヤ

1. ラジアルタイヤ

カーカスを構成するコードがトレッドの中心線に対して90°またはそれに近い角度(放射状=ラジアル)に配列され、またトレッドの部分をベルト(補強帯)で締め付けているタイプのタイヤをいいます。
ラジアルタイヤは、バイアスタイヤに比べ次のような特徴があります。

  1. 操縦性、安定性が優れている。
  2. 耐摩耗性が良い。
  3. 発熱が少ない。
  4. 転がり抵抗が少なく、燃料費が節約できる。
  5. スリップが少なく、けん引力が大きい。
  6. 低速、悪路走行には乗心地が劣るが、高速では良い。
  7. 低速時でのハンドルがやや重い。

2. バイアスタイヤ

カーカスを構成するコードがトレッドの中心線に対し、斜め(バイアス)に配列され、お互いに交差するような構造をもつタイプのタイヤをいいます。
なお、ブレーカの入っているタイプと入っていないタイプとがあります。

タイヤのトレッドパターン

タイヤの接地部(トレッド)にはいろいろな模様(パターン)の主溝、補助溝及び切り込み(サイピング)がつけられており、これをトレッドパターンといいます。

1. トレッドパターンの役目
  1. タイヤの制動力、駆動力及びけん引力の増加。
  2. 操縦性及び安定性の向上。
  3. タイヤの放熱効果。
  4. 排水効果。
2. トレッドパターンの種類と特徴
パターン図 特徴
リブ型パターン

  • 操縦性、安定性が良い。
  • 転がり抵抗が少ない。
  • タイヤ音が小さい。
ラグ型パターン

  • 駆動力、制動力が優れている。
  • 非舗装路におけるけん引力が優れている。
リブラグ型パターン

  • リブ型とラグ型の併用パターンで両方の特徴を持つ。
ブロック型パターン

  • 積雪、泥ねい路用として多く使用されている。
  • 駆動力、制動力が優れている。
3. タイヤの溝深さの種類

トラック・バス用タイヤは、走行速度と荷重によって安全性とタイヤライフが大きな影響を受けますので、溝深さ別にHW-J、HT、EHTと呼ばれる三種類のタイプが作られています。

  • HW-J(Highway Tread -Jの略=浅溝)
    高速走行用に設計された溝の浅いタイヤで、走行中の放熱効果が高いのが特徴です。
  • HT(Heavy Treadの略=一般溝)
    一般溝のタイヤで、わが国で最も多く使用されているタイヤです。
  • EHT(Extra Heavy Treadの略=深溝)
    溝が深いので長寿命ですが、放熱効果が低い欠点があります。

 

法令で定められているタイヤ点検

事業用自動車、自家用貨物自動車等の日常点検基準(「自動車点検基準」より)

点検箇所 点検内容
2 タイヤ
  1. タイヤの空気圧が適当であること。
  2. 亀裂及び損傷がないこと。
  3. 異状な摩耗がないこと。
  4. 溝の深さが十分であること。(※1)
  5. ディスク・ホイールの取付状態が不良でないこと。(※2)
  • ①(※1)印の点検は、当該自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に行うことで足りる。
  • ②(※2)印の点検は、車両総重量8トン以上または乗車定員30人以上の自動車に限る。

日常点検の実施方法(「自動車の点検及び整備に関する手引」より)

点検箇所 点検項目 点検の実施方法
運行中の異状箇所 当該箇所の異状 前日又は前回の運行中に異状を認めた箇所について、運行に支障がないかを点検します。
車の周りからの点検 タイヤ 空気圧 ○タイヤの接地部のたわみの状態により、空気圧が不足していないかを点検します。(扁平チューブレスタイヤなどのようにたわみの状態により空気圧不足が分かりにくいものや、長距離走行や高速走行を行う場合にはタイヤゲージを用いて点検します。)
□取付けの状態 ○ディスク・ホイールの取付状態について、目視により次の点検を行います。
  • ホイール・ナットの脱落、ホイール・ボルトの折損等の異状はないか。
  • ホイール・ボルト付近にさび汁が出た痕跡はないか。
  • ホイール・ナットから突出しているホイール・ボルトの長さに不揃いはないか。
○ディスク・ホイールの取付状態について、ホイール・ボルトの折損、ホイール・ナットの緩み等がないかを点検ハンマなどを使用して点検します。
なお、ISO方式のホイール・ナットの緩みの点検にあっては、ホイール・ナット及びホイール・ボルトへのマーキングを施しマーキングのずれを目視により確認する方法又はホイール・ナットの回転を指示するインジケータを装着しインジケータ相互の指示のずれやインジケータ連結部の変形を目視により確認する方法に代えることができます。ただし、ホイール・ナット及びホイール・ボルトを一体で覆うインジケータにあっては、目視によりディスク・ホイールの取付状態を点検する際に、インジケータを取り外して点検しなければならないことに注意してください。
亀裂、損傷 ○タイヤの全周に著しい亀裂や損傷がないかを点検します。また、タイヤの全周にわたり、釘、石、その他の異物が刺さったり、かみ込んでいないかを点検します。
異状な摩耗 ○タイヤの接地面が異状に摩耗していないかを点検します。
※溝の深さ ○溝の深さに不足がないかをウェア・インジケータ(スリップ・サイン)などにより点検します。
点検箇所 運行中の異状箇所 タイヤ:車の周りからの点検
前日又は前回の運行中に異状を認めた箇所について、運行に支障がないかを点検します。
点検項目 当該箇所の異状 空気圧
点検の実施方法
□取付けの状態
点検の実施方法
亀裂、損傷
点検の実施方法
異状な摩耗
点検の実施方法
溝の深さ
点検の実施方法

(注)

1 ※印の点検項目は「自家用貨物など」、「事業用など」に分類される自動車にあっても、自動車の走行距離や運行時の状態などから判断した適切な時期に行えばよいものです。
2、3 (省略)
4 □印の点検項目は、「大型車」の場合に点検して下さい。

※左右にスクロールできます。

 

交通事故及び路上故障統計

ドライバーによる原因

〔「公益財団法人 交通事故総合分析センター 交通統計令和2年版〕より〕

安全運転義務違反が第1位。安全不確認やわき見運転等のちょっとした不注意が事故につながっているようです。

道路や交通条件による原因

〔「公益財団法人 交通事故総合分析センター 交通統計令和2年版〕より〕

一般に無理をしがちな交差点内での事故が第1位。交差点内では、特に他の車両やバイク、歩行者の動きにご注意下さい。

高速道路における故障発生原因

〔令和2年NEXCO調べ  「セーフティードライブ 高速道路と上手につきあう方法」より〕

タイヤ(ホイール)破損が第1位。日常点検を必ず励行して下さい。特に高速走行時には空気圧のチェックを忘れずに。

タイヤ整備不良の内訳

〔JATMA 2020年「タイヤ点検結果」より〕

貨物車やバスでは偏摩耗が42.9%で第1位。日常点検・定期点検を実施し、適正使用に努めましょう。